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起業家インタビュー | 私がここで起業したワケ

私がここで起業したワケ|花山サンゼット 阿部幹司

花山サンゼット 阿部幹司さん

宮城県に移住した先輩起業家を紹介するコーナー「私がここで起業したワケ」。

第2弾は、栗原市花山地区で起業した「株式会社花山サンゼット」の阿部幹司さんをご紹介します。

花山を持続可能な地域とするために、数々の事業を立ち上げてきた阿部さん。移住・起業したきっかけや、どのように行う事業を決めているのかなどのお話を伺いました!

プロフィール

宮城県初の「地域おこし協力隊」として平成23年7月12日に栗原市花山地区に赴任、任期終了後の平成27年3月11日に同地にて創業。「地域資源に無駄なものなし」を掲げ、地域商社を目指し太陽光発電の保守・管理業務を皮切りに特産品販売施設の運営業務受託、行政の移住・定住施策の受注、地場産品の6次化などに取り組む。地域に根差し、連携していきながら雇用を創出し、新たな事業領域を生み続けることを得意とする。

花山に移住・起業したのには、どのような理由がありましたか?

きっかけは、子育てするなら里山のほうがいいというアドバイスをいただき、地方に対する憧れを持っていたことです。

実際に移住したのは2011年。宮城県の地域おこし協力隊に採用していただいた時でした。勤務地の候補が3つあったのですが、家族が東日本大震災の影響で山形県に避難していたこともあり、そこに一番近いのは花山だったという理由でここを選びました。

それだけの理由で選びましたが、最初花山に来た時に、ここは思い描いた理想郷そのものだなぁ、と思いました。さらに、花山に来て気付いた、この地区のたくましさにも惹かれました。これは東日本大震災の際に特に感じたのですが、都市部は災害に脆いんです。食料も水も、貨幣を介在しないと手に入れられない。それに比べて花山に住む人々の生活は自給自足になっている。これが、これまで横浜市や仙台市といった、都会に住んでいた私の目には、とても魅力的に映りました。

ほかにも地域おこし協力隊の任期終了後も花山に留まった理由としては、花山地区の皆さんが、大震災後という非常に困難な状況下にあったにも関わらず、よそ者の私を受け入れていただいたこと。全くのよそ者であるにも関わらず、快く私を受け入れてくれたことがすごくありがたくて、それが今に至るまでの原動力になっています。さらに、地域おこし協力隊として十分に活動できなかったと感じたこともあり、「この地に留まり何かしたい」と思いました。

はじめから起業を考えていたわけではありませんでしたが、父親の一言がきっかけで会社を興しました。父親は当時仙台市内で建設会社を営んでいましたが、花山に来た際に、この土地を見て「太陽光発電をやりたい、お前会社作れ」と言い始めましてね(笑)。なんだかあれよあれよという間に話がまとまっていきまして、太陽光発電施設の保守管理ということで始まったのが株式会社花山サンゼットだったんです。

▲太陽光パネルや架台に生い茂る雑草の駆除を、人による伐採ではなくヤギによる採食で行う「美ヤギ太陽光牧場プロジェクト」。

ただ発電施設の保守管理といっても、年がら年中仕事があるわけではないので、どうやって食べていこうか、と思っていました。そこで、私は地域のためになる事業をしたいと思っていたので、空き家や耕作放棄地の問題に取り組もうと考え、学生インターンを招聘し、活動期間の週末に空き家に寝泊まりしてもらった上で一緒に地域資源を調べる、というようなことを始めました。

花山サンゼットでは、現在どのような事業を行っているのでしょうか?

今会社は7期目を迎えているのですが、太陽光発電の保守・管理業務以外にも、花山の特産品販売施設を運営しながら、そこで飲食店を始めて農業の六次化に取り組んでいます。

今主軸になっているのは、旅館の運営です。これはたまたま地元の方から「使われていない温泉旅館があるよ」と教えていただいたのが、2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震により長期休業を余儀なくされた「温湯温泉佐藤旅館」(ぬるゆおんせんさとうりょかん)でした。そこを寄宿舎として使いたいという会社さんが出てきたものですから、大急ぎで利用できるように改修。去年の秋ごろから日帰り温泉として運営、今年からは宿泊も受け付けております。

▲温湯温泉佐藤旅館の様子。旅館復興に向けた動きを追った動画「【佐藤旅館復興プロジェクト】 | 温湯(ぬるゆ)温泉 | 宮城県栗原市花山 | 秘湯 | 東北 | BEAUTIFUL ONSEN IN JAPAN |」はこちらから:https://youtu.be/ulS2Ft5mbes

どういった事業を行うのか、どのように決めていますか?

私の場合は、市場調査などは行わず、とにかくやってみようと思っていますね。儲かるのか儲からないのかは、自分の経験がなければ理解できないと思っております。

また、この無計画っぽい姿勢が地域に刺激を与えたり、住民を巻き込むことによって新たなムーブメントのようなものが生まれたりしたら面白いんじゃないかなと思っています。住民の皆さんは、東北人の性格なのか、お互いの様子を伺っているところがあるように感じてまして。自分たちが、儲かるか否かは度外視して突っ走っていくことで、意外と周りの皆さんもついてきてくれるんじゃないかな、と。

そういう意味では、花山のために何が出来るか、という基準で進めているのかもしれません。自分は地域資源に無駄なものはないと信じているので、花山の森林も耕作放棄地も、お金を生み出すものになるんじゃないかと思っています。ただどうしても地元住民の方ですと、活用されていないことが当たり前になってしまい、新しい付加価値を見つけづらいところもあるようで。だから私は、地域資源に付加価値を付けていくことの露払いのような役割を果たしたいと思っています。

起業して良かったこと、大変だったことを教えてください。

そもそも会社の屋号に「花山」と入れたのも、過疎化・高齢化の進む花山地区でもこんなことが出来るよね!と伝えるような意味を込めたこともあり、花山を明るくしたいと思っていました。私が起業してからこの地区にもお陰様で移住者が増えてきて、おこがましいんですけど、先駆的な立ち位置になれたのかな。

▲温湯温泉佐藤旅館。コワーキング機能を追加し、起業支援や花山への定住促進にも貢献したいと考えている。

大変だったこととして挙げるとすれば、家族に反対されることもあったことですかね。結果が伴うまでには時間がかかることもあるので申し訳なかった部分もありますが、そこは創意工夫で、妻と二人三脚でやってきました。地方での起業も全てがうまくいくわけではないので、家族の支えがないと心折れちゃうんじゃないかと、今に至るまで思っております。

今後について、どのような展望をお持ちですか?

全然儲からない事業なんですけど、新しい事業として、シングルマザーの専用のアパートを作りたいんです。

というのも、この地区にある花山小学校は、どうしても児童が減ってしまっています。統廃合やむなしという空気が、ちょっとずつ地域にも醸成されています。しかし、自身がここで子育てをした経験からも、花山のような自然に囲まれてのびのびと育つことの出来る環境は、残しておいていいんじゃないかと思っているんです。だから、都市部、特に首都圏で困ってるお母さん方に家族ぐるみこちらに引っ越して来ていただいて、セーフティネットの役割を果たすと同時に、よそから来た子供たちが花山小学校に入学すれば、この地区の子育て環境が持続可能になると考えています。

決して儲かる事業にはならないでしょうけどね(笑)。

▲自然豊かな花山の環境。(写真は紅葉の栗駒山)

最後に、これから起業したい人に向けてメッセージをお願いします。

宮城での起業をめちゃめちゃお勧めします、本当にお勧めします!

私自身もともとUターン組ですが、こんないいところはないと思っています。ただそれは、宮城だけじゃなくて東北の多くの地域がそうだし、四国や九州や中国地方もそう。都市部以外で起業する面白さって、あると思うんです。地方に飛び込む事の可能性と言いますか、そこにはフロンティアスピリットのようなものがあると思います。ここで縮こまっていたらもったいないですよ!

いかがでしたか?

「とにかくやってみる」という姿勢で試行錯誤を繰り返している阿部さんからは、まさにフロンティアスピリット、新しい道を前向きに切り拓いていくような気概が感じられました。

株式会社花山サンゼットについてもっと知りたい方は、以下の情報をご参照ください。

株式会社 花山サンゼット

住所:〒987-2511 宮城県栗原市花山字本沢北ノ前60ー1

HP:https://h-sunzet.com/

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